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フラットな水面に落ちるラインの衝撃はナーバスな鱒達をスプークさせるに充分なものがある。ロングリーダー&ティペットを使えば多少なりとも射程距離が伸び、結果的にライン着水時の影響を減じることができるけれど、浅く広いプールの開きなどではそれでも限界があります。さっさと諦めて次のポイントに移動するのもいいけど、こんな場所に限っていいサイズが浮いていたりするんですよね。ストレートに狙うのならフォルスキャストは外しておいて、プレゼンテーションのみ出来るだけ高い位置から大きなループでふわっと落とすのが定石。もう一つの方法はライン、リーダーともに岸に置いてティペットだけが岸際30cmくらいの所に来るように投げてみること。フライは少し大きめがいい。こういった場所では魚は決まったレーンに定位しているというより、案外あちこち動き回っているものです。逆にフライの落ちる音で魚の方から見つけに来てもらうというこの方法、それなりに効果はありますよ。^^

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低番手の竹竿であまり細いものは、いくら注意していても若干の腰抜けが来るのを覚悟しておいたほうがいい。火入れの具合や素材の差はあるものの、早くて3〜4年でアクションが変わってくるようです。それが味だと言ってしまえばそれまでだけど、ぎりぎりでバランスを取っているようなテーパーだとちょっと困りますよね。こちらが気に入るようなものは特にその傾向にあるようで、極端に言えばそんな竿を使える贅沢は(素人を含めて)ビルダーにしか許されないのかもしれません。

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ドライフライフィッシングにおいて、フライが水面に作り出すライトパターンは非常に重要なファクターとなっています。ハックルやフェザー、獣毛、シンセティック素材がサーフェスフィルムを突き破り、あるいは押し下げることで光の屈折に変化が起きる。水面を意識する魚達にとって、この変化は流下する水生昆虫やテレストリアルをいち早く見つけるための信号になっているはずですね。セレクティブな鱒はその小さなきらめきの形で捕食対象を認識しているのかもしれません。それほど目が良くないとされる魚類ですが紫外線にはとても敏感です。本物とイミテーションが作り出す水面の僅かな窪みの違いが、分かっていても不思議ではありません。そう考えるとリアルフライのタイイングというのも大きく変わってくると思いませんか。

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気泡を抱いたイマージャーのアブドメンが鏡面反射するのと同様に、アダルトのレッグとボディの一部が水面に接した部分、そして当然のことながら水面に浮いたティペットが表面張力で作り出すシルエットときらめきは魚達にとって捕食を判断する大きな材料です。特にミッジングではフライに対して、ティペットが作り出すライトパターンの大きさが見切られる要因の一つになっているのは間違い有りません。クラスターパターンが効くというのも、案外このあたりの事がかかわっているのかもしれませんね。あと考慮すべき点はリッフルの大きさ、そう、波立つ水面なら魚達から見えるのも水面下あるいは水面を押し下げている僅かな部分のみになってしまいます。渓流魚が主に捕食している流速域では瞬時の判断が要求されるため、よほど不自然なものでない限り拒否されることはありませんが、魚がスレてくるに従ってフライに付いてくる距離が長くなり、特にプールなどではフラットな場所に移動してしまうこともよくあります。こんな時、風で水面が乱れた隙にフライをプレゼンテーションし、一度軽く引っ張ってティペットを沈めておくのが効果的です。

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釣り場に到着してタックルを準備しはじめたのはいいけれど、フライリールからティペットの先端が出て来なくて困ったなんてことありませんか?釣行後に必ずラインのメンテナンスをする几帳面な方には無縁の事かもしれませんが、一日の釣りを終えてラインを巻取ったらあとはそのままって人(僕も含めて)も多いですよね。フライを外したらすぐに小さなループを作ってリールに巻取り、最後にそのループをリールフットに引っ掛けるようにしておくとトラブルが防げます。最初からリーダーとティペットの接続をループトゥループにしておいて、釣り終えたらティペットごと取り外してしまうのも手ですね。劣化しやすいナイロンティペットはとくに、常に新しいものを使うようにしたいものです。当然ですが、取り外したティペットは必ず持ち帰りましょう。

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ライトワイヤーのフックがちょっとしたブームのようですね。ドライフライの場合は当然、その軽さは大きなメリットになります。ハックルを薄く巻いても浮くってことは、ダンやスピナー、イマージャーが自然に流下している状態により近く、しかも安定した姿勢で流すことが出来るわけです。はらりと巻いたハックルが水面膜に作り出す煌めきもまた、鱒達が捕食体勢に入るための信号のひとつだと思います。透過光と水中にあるアブドメンやレッグ等のシルエットが密接な関係にあるのは、実際に水面に浮かんだ虫を下から覗いて見ればすぐに分かる事です。光を遮るブッシ−なハックルは、いくらリアルなシルエットのイマージャーをその下にぶら下げていても、実際には全く違う信号を捕食者に送っているのかもしれません。

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ライズを取る=ダウンストリームという常識に縛られ過ぎるのも考えものです。いくら賢い鱒でも、一投目はすんなり出るという経験は誰しも持っているはず。流れによってはアップストリームのほうがうまくドリフト出来ることも多いし、フッキングにも気を使わないですみます。

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シビアな状況ではドリフトの差が勝負の分かれ目になることが多い。完璧に流れたはずのフライが無視されるのは、フライがマッチしていないという場合ももちろんあるけれど、プレゼンテーションの位置とドリフトの距離で見切られているのを疑ってみたほうがいい。魚がずっとフライと一緒にくっついて来るので、長い距離を流す=ライズ位置からどれだけ長くドリフト出来るかという風に考えてしまいがちだけど、実はその逆でいかに上流から自然にライズ位置へ流し込めるかを考えたほうがすんなりフライに出る確率は高いように思います。魚がある程度同じ場所でライズをしている場合、その場所が一番補食しやすいから(あるいはプレッシャーが掛かっていてそこが一番真贋を見極めやすい場所ということかもしれませんが)ですよね。そこに餌となる水生昆虫が到達するのは、自然に上流からであって決していきなり近くに出現するわけじゃありません。あとのドリフトがいくらうまくいっても無視されてしまうのは、実は最初の段階で疑われてしまっているのかもしれないという事です。

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初心者に限らず、フライフィッシャーはどうもポイントに近づきすぎるきらいがあるようです。餌釣りの上手な人を見ていると、竿の長さを活かしてずいぶん川岸から離れて釣ってますよね。水中のしかも本物の餌を使った釣りでさえ、そこまでやっているのにフライなら大丈夫なんてことはあり得ません。岸辺から陸上羽化する水生昆虫も多いし、落下するテレストリアルも岸近くを流されていく、、。もしそこに魚が隠れられる場所があるなら、川岸から離れて釣ってみてください。ラインが石に絡むとか、砂を拾ってガイドが傷むとか、タックルフェチの方には勧められませんが、普段より2〜3m離れるだけでも結果が随分違ってくるはずです。

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某有名人の傘の水切りキャスト。賛否両論あるようですが、トリックキャストの1つとして考えればそれもOKですよね。長いティペットを使ってフライをきちんとスポットに入れるには、先端の尖ったループが有効です。やや硬めのアクションのロッドの場合、反ってコントロールしにくくなったりするので毛嫌いする人が多いのかもしれません。バックを高く、振り出しを早めにしてロッドを高い位置でピタッと止める。この方法でも同じ先端の尖ったループが出来ます。覚えておいて損はないと思いますよ。

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